管理人のブログ むし屋 11月(その3) 2023年 逆川へご招待| 行事 | サケ情報 | ホタル情報 | 写真館
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シンジュキノカワガ(コブガ科 シンジュガ亜科) の飼育記録です。 東京のメル友さんから、『偶産種のシンジュキノカワガの幼虫を見つけたので飼育しますか』 と聞いてきたので、即、お願いしました。 見つけた場所は神奈川県川崎市で、自宅から車で1時間以上掛かるそうですが、早速採りに行って送ってくれました。 シンジュキノカワガは中国が原産地で、日本で見られるのは、台風か強い西風で飛ばされてきたもので偶産種といわれています。日本では越冬できないといわれています。 いつもありがとうございます。 |
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10月26日 夕方着きました。全部で6匹、3齢、4齢、終齢が混じっています。 2度とこんなチャンスはないと思うので、大切に飼育します。 |
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←3齢かな? 体長11mm で一番小さな子です。 |
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←4齢かな? 体長21mm |
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←終齢かな? 体長23mmで一番大きな子です。 |
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10月29日 上の写真の子は着いた夜(撮影の後)、死んでしまいました。 輸送の振動が影響したのかもしれません。 |
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←終齢 体長31mm これは上の写真とは別の個体です。 |
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←お顔拝見 |
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←腹脚(ふっきゃく)がおもしろい 雪国のかんじきのようです。 |
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←尾脚(びきゃく) |
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11月04日 写真上の子は繭(まゆ)づくりに無事成功したので、2匹目の子の記録です。 3匹目の子も同時進行に繭(まゆ)づくりを始めました。 |
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←終齢 体長38mm 体が太めとなりました。 |
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実際、木の枝は立てて飼育しているので、この後の写真は90度回転しています。 繭(まゆ)づくりのシンジュの枝は直前に山採りしてきた生木(なまき)です。葉っぱと同じ臭いがするのか、迷うことなく移動してきました。 |
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←繭(まゆ)づくり - 1 夜の8時25分 繭づくりを始めました。 羽の内幅は15mmです。 2枚の羽の間隔は自分の毛で測っているようです。 |
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←繭づくり - 2 作っている羽の周りの樹皮を削りとってはどんどん積み上げています。 羽は紙のようにペラペラです。 イモムシが上に乗っても壊れません。 |
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←繭づくり - 3 時には、繭エリアの外まで材料採りに出ます。 これは枝が細すぎたので近くに材料がないというのが理由だと思われます。 |
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←繭づくり - 4 繭のアップ写真です。 口だけで樹皮を削り、積み上げていく、気の遠くなる作業ですネ。 |
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←繭づくり - 5 翌日の朝8時40分 羽の真ん中辺を閉じ始めました。 |
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←繭づくり - 6 片方がほぼ閉じました。 体の向きを変えて反対側も閉じます。 |
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←繭づくり - 7 朝10時 左右の羽が完全に閉じました。 かかった時間は25時間35分。 繭の幅は15mm、長さは65mmです。 中でモソモソ動いているので補強でもしているのでしょう。 指で軽く押してみると、プニュプニュです。 |
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おまけ |
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←繭づくり - 4番目の子 繭の大きさは、幅20mm、長さ66mm シンジュの生木はφ57mm 採ってきた枝はタワシで擦(こす)って洗っています。 木が太いと材料にすぐに口が届くので、繭を作るスピードもアップするようです。 ちなみに、繭はどこだか分りますか? |
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これで5匹の繭づくりが成功しました。これで観察記録は一旦休止します。 繭づくりはシンジュの生木を使うのがこつですネ。なるべく太い木が良いようです。 さなぎ越冬でしょうか。 どうしても成虫が見たいので、羽化をさせるための情報を収集します。 |
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11月13日 幼虫を送ってくれた東京のメル友さんから、羽化したとの連絡がありました。 その情報からすると、私の方の羽化は今月18日前後の予定です。 |
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←繭の着いた細い枝の3本は、鴨居(かもい)にぶら下げて、羽化の瞬間を撮影しようと待ち構えることにしました。 繭をつくった枝はシンジュの生木で長さは36cmです。飼育ケースの中に立てて飼育していました。 この細い枝3本に太い枝も下の方に繭をつくりました。なにか理由か習性があるように考えられます。 繭に触ると『ガリガリガリ・・・』と早く鳴きます。 鳴き声を文字にすると難しいですが、私にはこう聞こえます。 実際は鳴いているのではなく、サナギが繭をこすっているのです。 |
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←I Cレコーダー ソニー製 I C D−PX470F ケーズデンキで9000円弱でした。 繭の鳴き声を、グーグルで、《音→文字変換ソフト》を使用するか考えましたが、このボイスレコーダーに録音して、何度も聞きなおしました。 結果:『ガリガリガリ』が一番近い気がします。 他に、『ギリギリギリ』や『ガシャガシャガシャ』のようにも聞こえます。 |
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11月28日 那珂市清水洞上の公園でミドリシジミの卵を探していたら、なんとシンジュキノカワガの繭を見つけてしまいました。→ミドリシジミの卵はありませんでした。 これで中国から茨城県にも飛来していたことが判明しましたが、日本では越冬できないこと、ここのシンジュが伐採されたことから、来年この公園では見られません。 1日考えて、ここでは寒さで羽化せず死んでしまうので、翌日、繭を開いてサナギを持ち帰りました。 |
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←繭はハンノキの地上1mぐらいの処にありました。 エッ・・・ シンジュキノカワガはハンノキも食べるの??? 初記録??? 10mほどの先に切り倒されたシンジュの木が数本横たわっていました。 この公園でシンジュの木は不要木として伐採されるようです。 |
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←ハンノキの幹につくられたシンジュキノカワガの繭 縦の中央に繭をつくった時の接合線が見えます。 そーと触ると、あの鳴き声が元気に聞こえます。 幼虫は繭を作る場所探して、伐採されたシンジュから10m以上も歩いてきたのですネ |
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↑ 腹側です。 |
↑ 背側です。 |
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サナギの体長は25mmで、繭が膨らまないよう扁平です。 |
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11月30日 朝起きたら、羽化して壁にとまっていました。 繭を作ってから29日(ほぼ1ヶ月)目でした。 |
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←前翅長35mmです。 |
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←腹側です。 ケースの外からの撮影です。 交尾器が見えていて♀のようですネ。 |
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標本は茨城県生物多様性センター(県庁14階)に提供する約束をしていたので、展翅の上手な虫友(チョウ屋さん)にお願いしました。 完成したらアップします。 |
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12月02日 |
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←虫友から展翅状況の写真を送ってくれました。 彼はチョウ屋さんなので普段ガの展翅はしません。 チョウの翅と違ってティシュのように薄くてペラペラで非常に難しかったということです。 私がやったら翅をボロボロにするところでした(笑い)。 |
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12月22日 虫友から頼んでいた展翅が完成したとの連絡があり、引き取ってきました。 |
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これで飼育記録は終了しますが、なんと那珂市清水洞上の公園から採集してきたサナギはまだ生きています。 何か変化があれば報告いたします。 シンジュキノカワガは 『原色日本蛾類図鑑 改定新版:保育社』 の表紙に載っています。 |
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12月29日 追加報告です。 |
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那珂市清水洞上の公園で見つけた繭を開いて(ハンノキを切るわけにはいかないので)サナギを持ち帰ってティシュに包んでいましたが、夕方、羽化しました。 サナギ越冬するのかナ、とも期待していましたが・・・ |
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